さて、保険シリーズもいよいよ最終回です。
と紹介してきました。
今回は今まで紹介した損をしない保険の考え方を基にして「取りあえずこれを選べば費用対効果も高いし、きちんとリスクも備えられるよ」という保険を紹介します。
結局、どの保険に入ればいい?
ここまで1回目、2回目を要約すると、必要な保険の選び方は以下のようになります。
「貯金を100万円作りその貯金と公的保障でひとまず様々なリスクに備える。
それでもカバーできないリスクに対して民間の保険を契約する。」
ということになります。
これが最も出費が少なく(無駄な保険を契約することなく)、あらゆるリスクがカバーできる方法です。
ここからは、日経のコラムに興味深い図が有ったのでこちらを引用しながら説明しようと思います。
(日本経済新聞 web版コラム 『本当に加入すべき保険、いらない保険』より)
自動車保険
まず、最も優先すべきは自動車保険です。
交通事故は運転手がいくら注意していても、歩行者の飛び出しなどは誰にでも起こりうる上、死亡事故となると賠償額は1億円を超えることもあります。
公的な保障として強制加入の自賠責保険がありますが、対人補償は3000万円が上限です。
億を超える賠償金に対して3000万円では焼け石に水。
到底貯金でもカバーしきれません。
差額の賠償金を民間の自動車保険で賄えないとなると家計の破たんは目に見えています。
ですので、誰にでも起こりうる上、経済的ダメージの大きい自動車保険は必ず加入しましょう。
特に沖縄は任意の自動車保険加入率が52.3%(日本損害保険協会「自動車保険 都道府県別加入率(2012年3月末)」)と非常に低水準です。
せめて対人保障だけでも加入しましょう。
ですが、自動車保険の特約である「車両保険」の加入は、特別な事情が無い限り私はお勧め致しません。
個人賠償責任保険
次に重要なのは個人賠償責任保険です。
あまり聞きなれない保険かもしれませんが非常に大切です。
自転車に乗車中ハンドル操作を誤って他人にケガをさせた、子供が誤ってベランダからおもちゃを落とし下の高級車を傷つけた、など不測の事態による賠償金額は予測がつきません。
日常に起こりうるあらゆる事故での賠償責任に対する公的な保障はありません。
中には謝って済む事例もあるでしょうが、もし謝罪どころではない高額賠償金が発生した場合、その賠償金は全額あなたが払うことになります。
また、この個人賠償責任保険は月々わずか数百円程度の掛け金で家族全員の賠償責任が最高1億円まで保障されます。
少額で大きなリスクに備えるという面からも保険としてとても有効であると言えます。
残念ながらこの個人賠償責任保険は現在単体で契約することはできません。
火災保険の特約やクレジットカードの付帯保険として加入できます。
火災保険
次は火災保険。
自宅か火事になった際、家と家財を一定の範囲内で保障する保険です。
アパートなど借家に住んでいる方は入居の際に不動産屋から加入を義務付けられるかと思います。
意外と知られていないのですが、この火災保険の大事なポイントは「自分の不始末による火事以外」のところにあります。
日本には失火責任法という法律があり、軽過失による火災で隣家に延焼し損害を与えた場合は賠償しなくてもよい、と定められています。
つまり、隣家がうっかり火事を起こしてしまい我が家も延焼した場合、火元となった隣家には賠償請求をすることが出来ないのです。
いくら「うちは注意しているから火事は起こさない!」と思っていても、隣家の火事までは防ぐことが出来ません。
その場合に泣き寝入りにならぬよう自宅と家財を守る火災保険が必要なのです。
生命保険
そして中位に生命保険ですが、重要度はそこまで高くは無いでしょう。
前回の記事にも書いたとおり、 遺族年金や団体信用生命保険があるため一家の大黒柱が死亡した場合の公的保障が手厚いことがその理由です。
しかし、この生命保険は家族構成や家族の収入の状況により重要度が変わってきますので、あくまでも「上記の保険に比べて重要度は低い」と思ってください。
両親共働きのため貯金もそこそこ有り子供は1人、祖父母が近所に住んでいて家事や育児の面倒を見てくれる、と言う場合は重要度は低くなります。
しかし、子どもが2人以上で母親が病弱で働けず親族も近くにいない、という家庭の場合、父親が死んだ時は生活が成り立たなくなる恐れがありますので重要度は高くなります。
医療保険・ガン保険
医療保険・ガン保険はかなり優先度は低くなります。
高額療養費制度のおかげで医療費が一定に抑えられる上、健康保険から一定の収入が保障されます。
しかし、この医療保険・ガン保険についても家族構成や収入によって重要度は変わりますのでご注意ください。
自営業の方は、もし病気で入院となればその間の収入が無くなってしまうため、収入保障も兼ねてという考えで医療保険に加入することをお勧めします。
サラリーマン家庭の場合は前述の通り公的保障がしっかりしていますので、もし加入されるのであれば最低限のお守り程度の保障内容で十分です。
「入院日額5000円60日保障」「ガン特約」「先進医療特約」程度の掛け捨て保険で十分でしょう。
学資保険
学資保険は貯金があれば全くもって必要ありません。
貯金が無い、もしくは貯金をしている最中と言う場合は生命保険で備えましょう。
よく「学資保険は将来増えるから・・・」と言う方がいらっしゃいますが、保険会社にお金を預けて増やしてもらうならば、投資のプロである証券会社にお金を預けて株や投資信託などで増やすべきです。
以上、3回に渡り「本当に必要な保険の選び方」というテーマでお話をさせていただきました。
保険は多種多様な商品が売り出されており、消費者にとって非常に分かり辛くなっています。
「分からないから勧められた保険に加入すればいいや」という決断は、確実にあなたの資産を減らすことになるでしょう。
しかし逆に考えてみると、多様な商品があるからこそ、きちんと保険について勉強して自分自身で必要なものが選べるようになれば、無駄が一切無いあなたに最適な保険プランを作成することだって可能なのです。
何度もいいますが、
「貯金を100万円作りその貯金と公的保障でひとまず様々なリスクに備える。
それでもカバーできないリスクに対して民間の保険を契約する。」
という気持ちで保険選びをしてみてください。